以前、被写界深度の説明にて、絞りとフォーカスが合っていると思われる範囲の関係について書きました。
その際、絞りを開放していくほど被写界深度は浅くボケやすく、絞り込むほど被写界深度は深くピントが合いやすくなると説明しました。
でも実際、パンフォーカス(近くのものから遠くのものまでピントが合っているように見せる方法)で撮影しようと絞り込んだ結果、なんだかピント合ってないんじゃない?と思うような写真になることありませんか?
これは「小絞りボケ」という現象により写真の解像感が失われている為、そのように仕上がってしまうのです。
小絞りボケとは?
カメラの絞りを絞り込むほど、光の回折により画質の鮮明さが失われ、全体にぼけた画像になる現象を「小絞りボケ」と呼びます。回折現象と呼ぶこともあります。
なぜこのような現象が起きてしまうのかというと、普通でしたら光はまっすぐ進みますが、小さな穴を通るときに、穴の縁付近を通った光の一部が曲がってしまう現象が起きます。これを回折光と呼びます。

この回折光が小絞りボケを引き起こす原因となるそうです。
上図は、「登山と写真で仕事をしている人。」様のブログの記事を参照しイラスト化させていただきました。
絞りについて物凄くわかりやすく、細かく説明してらっしゃるので、こちらを参照いただいた方が理解が早いと思います。
絞り過ぎは回折光の割合が取り込みの理想光に対し大きくなるので影響を受けやすく、結果的に良くないよ!ということです。
つまり、絞れば絞るほど被写界深度が深くなるというのは理論上は間違いではないのですが、現実的には絞り込むことによる小絞りボケの影響で理想的なパンフォーカスを得るのが難しくなるというわけです。
最高解像力と絞り
となると、絞り値は何を基準にすれば良いのか?となります。
レンズパフォーマンスにもよりますが、一般的に、開放F値から2段程絞った状態がそのレンズの最高の解像力が出ると言われています。
1段絞るというのは、F値を1.4倍した数値になります。例えば、開放F値がF2.8であれば、1段絞るとF4となります。
つまり、
開放F値 F1.4 → F2.8
開放F値 F2.8 → F5.6
開放F値 F3.5 – F5.6 → F5.6 – F11
上記のように少し絞った方が解像感のある描写になるということです。
ちなみに、絞り込むとしてもF8~F11までにした方が良いとされています。
それ以上絞り込みたい場合(絞る必要がある場合)、カメラの機能の回折補正などを適用させてあげる必要があります。※
(カメラによってはこの機能は無い場合があります)
レンズの品質と解像力

簡単ではありますが、一般的なレンズでの絞りと解像力の関係は上図のようなグラフになります。勿論、レンズによって異なります。
そして、高額なレンズは開放付近の解像力も高いとされています。
開放F値は暗い場所やボケ感など、使用頻度の高い絞りになります。
つまり、各メーカーでは開放F値付近でも解像力の高いレンズを作ります。
そのようなレンズを作るには手間もかかり、結果的に高額なレンズとなっていくわけです。
勿論、写真として見る場合、ボディの性能も重要なのでレンズだけで図ることは出来ませんが、値段が高額なのはそれなりの理由があるということです。
最後に
絞り込めば絞り込むほどパンフォーカスになると思い込んでいた時期が私にもありました。
でも実際は小絞りボケにより写真の解像感失われ、結果全体的にボヤっとした写真に仕上がってしまうわけです。
どれくらい絞り込めば最高の解像度を得られるのかは、手持ちのレンズを実際にテストをしてみる必要があります。
三脚などで固定し、絞りを変えて撮影した後、モニター上で拡大表示して確認してみてください。
私も目測ではありますが、1本1本調べていこうと思います。
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